みなさん、こんにちは。cloud141です。外出自粛のGWにお勧めの本はマクニールの
「疫病と世界史」上下巻(中公文庫)です。2020年4月30日に重版ができたようですので一般の書店でも入手しやすくなっています。私は基本的に中古本で買うか、図書館で
借りるようにしていますが、いまは公立図書館は休業中だし、中古本も売り切れているようですので、重版はうれしいですね。
著者はHIVが広がる前にこの本を出版していますが、あらためてコロナウィルスが拡散されている今日、著者の目の付け所の鋭さと大胆な仮説の面白さでぐいぐいと引き込まれてしまいます。
序論で著者はこう述べています。
”御存知のように、エルナンド・コルテスは六百人に足りぬ部下を率いて遠征に出立し、数百万の民を擁するアステカ帝国を征服した。一体なぜこれほどの少人数で勝
ちを収めることができたのか、という疑問が私を捉えた。まったくのところ一体
なぜなのか。普通行われている説明では充分に納得がいかないように思われた”
(上巻 23p)
この素朴な問いの立て方が、面白い歴史観、仮説を産んだのだと思います。それも
おそらくかなり筋がいい仮説です。
人類は霊長類で生物界の支配者だなんて思っていたら、目に見えないウィルスにやられてしまう。それも最近の話ではなく、人類が誕生してからずっと疫病との闘いだった。医学の視点を通して歴史を眺めるとそこに新しい発見があります。
人間は所詮、地球という巨大なエコシステム(生態系)の一部にしか過ぎない、ということに気づきました。そう思えば、いまのコロナ報道やそれに対する反応は過剰じゃないの、と思うのです。