ぶらぶらマーケティング日記

ぶらぶら街中を歩いて思いついたことを記録します。。。

ヴィクトール・E・フランクル著 「夜と霧」 みすず書房

みなさん、こんにちは。cloud141です。標題の本は、私が高校生のときに図書室で司書の先生に勧められて読んだ本です。私の父は私が中学生のころに、無理して家を買ったのと老いた親の面倒を誰が見るかで親族間で揉めた心労で、すでにリンパ腺のガンにかかっていました。父は私が高校に入ってすぐ6月には亡くなりました。ふさぎがちになった私は昼休みは図書室にこもって本を読むことが多くなりました。そのとき、司書の先生がこの本を勧めてくれたのですが、アウシュビッツの写真が生々しく、正直、読むのが恐ろしい本でした。私の通った高校は、高校なのに、しかも当時はすでに時代遅れの、学園紛争の余韻が残る不思議な学校でした。司書の先生は穏やかで品のいいおば様だったので、私に反権力、反ナチズムを吹き込もうとしてこの本を薦めたわけではないようです。

 

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録

 

「夜と霧」は旧版のほうがアウシュビッツの壮絶さを伝えています。 本書の趣旨は「どんなに悲惨で理不尽な状況にあっても希望を持つことはできる」ということらしかった。いまにして思えば、司書の先生は、私に実存主義哲学を教えたかったのかもしれません。この間まで「あしたのジョー」や「ドカベン」「巨人の星」を愛読していた子供に伝えるにはサルにプラトンを講義するぐらい飛躍したことでした。コーチングや哲学ではなく、実体験として、自分の意思に関係なく、強制的に自分の人生にこうした出来事が起きたとしたら、フランクルのように怒りや絶望を感じずに冷静な観察者となって、自分の状況を肯定することができるでしょうか。

 

それでも人生にイエスと言う

それでも人生にイエスと言う

 

 

 このフランクルについては、このあと大学に入ってから時々、お邪魔したある教会の講座の中でもういちど出会うことになります。その話はまた改めて取り上げます。

 

<注記>

日本での初版は1956年です。amazonではこの版はもう手に入らないようですね。詳しくはみすず書房のHPの「夜と霧」の項目を参照してください。(2015.02.05追記)